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ハイデルベルク大学法学部 解説: 羽深 宏樹特任教授(京都大学法学研究科・人工知能と法ユニット) 日時: 2024年1月30日 (火) 18:30〜20:00 会場:京都大学吉田国際交流会館南講義室1(1階、吉田南構内)| 言語: 英語 |
要旨
人工知能(AI)が既存の法的視点の数々に波紋を投じている。なかでも、私法の基本的な制度である契約の自由に対して疑問を投げかけている。契約とは伝統的に人間の意思による領域であり、契約が成立するかどうか、またその契約が公正であると判断されるかどうかは、基本的に両当事者が何を望むかによってのみ決まる。そのとき経済的合理性、数学的精度、公共の利益といったものは契約の指針にならない。
ここでAIという代理人が契約締結に関与すると、パラダイムシフトが起こる可能性がある。人間とは異なりAIという代理人はそもそも権利や義務を有する存在であり得ないため、自己の利得や利益といった意思に動かされることがない。また人間の意思がAIを用いた契約に反映されることもない。人間はAIの自律性に判断を委ねているからだ。このような意思を離れた契約からは複数の実際的な問いが生じる。
機械が有効な契約を締結できるのか?それが可能として、そこに根拠となる意思がない場合、何を基準にこの種の契約を解釈すべきか?そして最後に、AIのエラーは契約の有効性にどのような影響を及ぼすのか?講演ではこれらの問いに取り組み、人工知能の時代における契約理論に貢献することを試みる。
参加登録
1日26日(金)までに氏名、所属機関を記載の上、以下のメールアドレス宛ご連絡ください。
ハイデルベルク大学京都オフィス(HUOK)
メール: info(at)huok.uni-heidelberg.de
電話: 075-753-5413
※日独ジョイントレクチャーは、相互にオフィスを持つハイデルベルク大学と京都大学が、両大学の学術交流の深化と発展を目指し、不定期に開催しています。