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講演:瀬戸口明久 准教授 (京都大学 人文科学研究所)
解説:デニス・ポーラー 教授 (ハイデルベルク大学 環境物理学研究所)
日時: 2019年1月17日(木)18:15〜19:45(受付18:00〜) 会場:Hörsaal 15, Neue Universität, Heidelberg University 住所: Universitätsplatz 1, Heidelberg |
要旨
本報告では、今日の空気環境をつくりあげるテクノロジーの歴史について検討する。その起源は炭鉱にある。19世紀の炭鉱においては、数百人もの死者を出す爆発事故が頻発した。そこで坑内空気をモニタリングするテクノロジーが発達する。1930年代以降、日本の炭鉱ではメタンガス探知機やカナリアが利用されるようになる。1970年代には坑内各所に自動記録装置が設置され、監視システムが確立した。この頃から日本の炭鉱は衰退していくが、同様のモニタリングシステムは都市や大気全体へと広がっていく。都市ガスの爆発事故が頻発した住居ではガス警報器が普及する。また化石燃料の燃焼による大気汚染を監視するシステムも1970年代には確立する。こうして地球をつつみこむ大気は、テクノロジーによって絶えず監視され、維持管理されている。本報告ではこのような歴史から、テクノロジーがつくりあげる環境における機械・ヒト・動物の関係について考えてみたい。
開催報告
プログラム
18:15 | 開会 |
18:30 |
レクチャー 瀬戸口明久 准教授(京都大学 人文科学研究所) 「カナリアと機械――炭鉱・都市・大気の安全性をめぐって」 |
19:10 |
解説 デニス・ポーラー 教授 (ハイデルベルク大学 環境物理学研究所) |
19:30 | 質疑応答、ディスカッション |
19:45 | 閉会 |
司会進行:鈴木環(京都大学 欧州拠点)
参加登録
参加ご希望の方は1月14日(月)までに氏名、所属機関を記載の上、以下のメールアドレス宛ご連絡ください。
京都大学欧州拠点(KUEC)
メール: info_eu@oc.kyoto-u.ac.jp
電話: +49-(0)6221-54 30034
講師プロフィール
瀬戸口 明久 准教授
京都大学 人文科学研究所
専門は科学史。おもに日本の生物学史、環境史、人と動物の関係を研究してきた。主著は『害虫の誕生』(筑摩書房、2009年)、『日本の動物観』(共著、東京大学出版会、2013年)。近年は、科学技術がつくりあげる「自然」についての検討をすすめている。
デニス・ポーラー 教授
ハイデルベルク大学 環境物理学研究所
ヴュルツブルク大学とエディンバラ大学(スコットランド)で物理学を専攻。ハイデルベルク大学環境物理学研究所において、都市における窒素酸化物による大気汚染について数多くの研究をなした。さらに、排気ガス浄化システムの欠陥や不正操作を明らかにするため、持ち運び可能な排気ガス測定装置を積極的に開発。2016年から2018年にかけてはICAD測定装置を商業化することを目的としたAQMTecプロジェクトのリーダーを務め、開発に尽力した。このプロジェクトは経済エネルギー連邦機関およびEUの資金提供を受けたものである。ポーラー氏のプロジェクトと専門技術については、ドイツ国内のみならずEU内で幅広くメディアに取り上げられている。
※日独ジョイントレクチャーは、相互にオフィスを持つハイデルベルク大学と京都大学が、両大学の学術交流の深化と発展を目指し、不定期に開催しています。